ラスティ
日本は、ペットに関しての法律や環境が、ペット先進国と比べると少し遅れていると言う意見が多いみたいです。
ペット事情に関しては、各国で色んな考え方がありますよね。
この記事では、ペットが暮しやすいと言われているペット先進国のペット事情と日本のペット事情を比較紹介します。
シナモン
もくじ
日本のペット事情
日本では3世帯に1世帯がペットを飼っていると言われています。
2018年の調査によると、犬を飼う人が減り、猫を飼う人が少し増えているそうですね。
全国の推計飼育頭数 犬:890万3千頭、猫:964万9千頭。
最近は日本の住宅状況などからか、猫の方が人気なんです。
日本がペット先進国でないと言われる理由
日本は、まだペット先進国と呼ばれていないのが残念ですね。
その理由の一つが日本の法律では、動物は命ではなく「物」として扱われていることではないでしょうか?
ペットの命が関わった事件が起こった場合も、判例として重い罪に問われている例は今のところないと言えます。
しかも、いまだに日本では行政(厚生労働省の管轄)が運営している動物愛護センターで、多くの犬や猫が殺処分されています。
保健所は、各市町村にあり、地域住民の健康や環境衛生を支える公共機関の1つです。
飼い主がいない動物は保健所に引き取られます。
保護されている動物たちは、一定の期間を過ぎると各都道府県にある「動物愛護センター」へ移され、一定期間保護したのち、期間が過ぎると殺処分されてしまいます。
2018年に殺処分された犬と猫は、下記の状況です。
譲渡数 殺処分数 犬 17,669 8,362 猫 26,651 34,854
ドイツなどのペット先進国では、殺処分は0頭です(難病や感染症の場合は安楽死をする場合があるそうです。)。
そもそも殺処分出来る施設がありません。
他のペット先進国でも同じような考え方が適用されています。
2012年に話題となった愛知県の小学6年生の子が書いた「78円の命」という作文。
日本では動物の処分1匹につきかかる費用が78円なのだそう。
1日でも早く殺処分がなくなればと思います。
それに、ペットショップで販売されている動物たちの背景には残酷な実態があると言われています。
このような話を耳にするたびに、辛い気持ちになります。
動物愛護法は年々改定されてはいますが、具体的な解決方法は、ほとんど記述がありませんでした。
少しづつでも改善をお願いしたいですね。
ドッグランで遊ぶ、わが家の犬達。
この子達のお母さんやお父さん、兄弟は幸せに暮らしているのか?考える時があります。
公園や街でもドッグランが増えているのは嬉しい変化です。
日本の動物保護の歴史
日本はまだ動物保護の意識が低いと言われていますが、実は明治以前にすでに動物愛護に近い考え方や禁止令がありました。
天武天皇が(675年)4月17日「肉食禁止令」を発布。表向きには肉食は禁止だったんですね。
天武天皇は、狩猟も禁じたそうです。
なぜ禁じたのかというと、どうやら動物愛護の観点からではなく、
仏教の観点で動物の殺傷を禁じていることから、こうした禁止令を出していたと言われています。
明治4年(1871年)12月17日に解禁になるまで、1200年もの間、日本では肉食から離れていたんですね!
その頃、労働用の動物はいたそうですが、畜用動物は少なく(一説にはイノシシなどは許されていたという話があります)
理由はどうであれ、結果的には動物保護の一環にはなっていたと言えます。
実際どうだったのか定かではありませんが、その頃の日本だったら、当時の欧州と比べてもダントツのペット先進国だったのではないか?と思います。
動物愛護という言葉が出来たのは、明治時代といわれています。
明治35年(1902年)にキリスト教牧師の広井辰太郎が「動物虐待防止会」を設立しました。
その時代、馬車が交通手段として発展していたので、馬の虐待行為を問題視してできたと言われています。
明治41年(1908年)には、「動物愛護会」という名称で、犬と猫の保護にも力を入れはじめたそうです。
これが日本の動物愛護のはじまりと言われています。
日本のペットに関する法律
日本では法律上、動物は生き物ではなく「物」として扱われています。
例外動物もいます。「人が占有している動物で、哺乳類、鳥類、爬虫類に属するもの」は「愛護動物」として、「物」とは異なる扱いをする規定があります。
それが一般では「動物愛護法」と呼ばれている法律です。
本当の名称は「動物愛護管理法」だそうです。
1973年
・(昭和48年10月1日)に動物虐待などの防止について定めた法律「動物愛護法/動物愛護管理法」があります。
2013年の改正
・飼い主は動物がその命を終えるまで適切に飼養する義務がある。
・業者は実物を見せないまま販売することを禁止。
・愛護動物の殺傷-1年以下の懲役または、100万円以下の罰金→2年以下の懲役または200万円いかの罰金
・愛護動物の虐待・遺棄-50万円以下の罰金→100万円いかの罰金
・無登録で第一種動物取扱を営んだ者-30蔓延以下の罰金→100万円以下の罰金
2019年の改正(施行は1~3年後)
・ブリーダーや繁殖業者にはマイクロチップの装着を義務付けること
・生後56日以内の犬や猫の販売禁止
・ペットの殺傷に対する罰則-2年以下の懲役または200蔓延以下の罰金→5年以下の懲役または500万円以下の罰金。
判例
2019年、十数匹の猫をさらった後殺したという事件、動物愛護法違反の罪に問われ、2019年9月17日の判決公判では、懲役8か月、執行猶予4年だったそうです。
参考 動物愛護管理法の概要環境省ペット先進国と言われる国
ペット先進国とは、ペットを守る法律や対策、街の環境、動物福祉が整っていて、
なおかつ国民のペットに対する意識が高い国の事ですね。
そういった国では、ペットショップで犬や猫は販売されていません。
それに、ペット以外の全ての動物に対する配慮ある法律もちゃんとあるんですよ。
動物保護の世界ランキング
WORLD ANIMAL PROTECTIONでは、世界の動物保護状況をを国別にA~Gのランキング分けをしています。
具体的には、各国の動物保護や、アニマウェルフェア(動物福祉)関連の法律、政策に関して15項目から評価しているそうです。
農用目的で飼養される動物や、愛玩動物以外の動物(野生動物も含めて)への規定がないことが低評価につながったのではないかと言われています。
動物保護Dランクの国
日本、アメリカ、カナダ、コロンビア、タイ、パキスタン、イタリア、ナイジェリアなどです。
めろん
ディル
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動物保護Aランクとされている国
スイス、オーストリア、ドイツ、オランダ、イギリスと、かなり限られた一部の国なんですね!
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ちなみに動物保護Bランクの国は、デンマーク、フィリピン
動物保護Cランクの国は、中国、韓国、マレーシア、インドネシア、インド、オーストラリア、トルコ、ルーマニア、ポーランド、スウェーデン、フランス、スペイン、南アフリカ、ブラジル、アルゼンチンなど
でした。
おいさん
ペット先進国の歴史
ペット先進国には、ペット先進国になったゆえんがあります。
ヨーロッパ諸国では動物福祉に関しての 歴史があり、なんと17世紀後半ごろから議論されてきたと言われています!
それ以前は、フランスの哲学者ルネ・デカルトが『方法序説』(1637)で、
「動物は精神を持たず、考える事も苦痛を感じる事もないため、動物に対してどんなひどい扱いをしようが間違いであることはあり得ない。」と主張していました。
その頃は「動物は機械・道具である。」というデカルトやカント(ドイツ人哲学者)の考え方がまかり通っていたんです。
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めろん
それに対し、同じ哲学者のジャン=リュック・ルソー(スイス・ジュネーブに生まれ、フランスで活躍した)は、『人間不平等起源論』(1754)で、
「人間は知性と自立した意思を欠いた存在でこそないものの、出発点は動物である。
さらには、動物は感覚を持つ存在である為、自然権を持つものに含まれるべきであり、
人間は動物に対して責務を負っている。無益に虐待されることのない権利を有するものである。」
と発表しました。
18世紀になると、イギリスの哲学者ジェレミ・ベンサムは
「動物の苦痛は人間の苦痛と同じくらい確かで類似したものである。理性があるかどうかではなく、
苦しむかどうかこそが、我々が人間以外の存在を扱う際の基準であるべきだ。
もしも理性的能力が基準となるなら、赤ん坊や障害者などを含む多くの人間が物のように扱われることにならなければならない。」
と述べたとされています。
めろん
現代の動物の権利運動は1970年代からイギリスの哲学者によって生み出され、現在もなお続いているのだそう。
このあと、ペット先進国と言われている国々は、どのような心構えや決まりのうえで、
ペットや動物たちとどういった暮らしをしているのか?お伝えしていきます。
ペット先進国の決まり事を見ていくと、「根底にはこの哲学者たちの思想が今でも残っているんだな。」と感じ取ることができると思います。
めろん
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スイスがペット先進国と言われる理由
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スイスの家庭で最もよく飼われているのは猫で、猫を飼うには特に決まりごとはないんだそうです。
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出典:boredpandra
スイスで犬を飼う場合の決まり事
スイスで犬を飼う場合は、飼う前から決まりごとがあります。
- 飼う前にドッグトレーナーが主催するコースかオンラインコースで『犬に関する基礎知識』を受講し、合格証をもらい、自治体に届け出を出して初めて犬を飼うことができる。
- 毎年保有税を払う義務がある(13,000円程度)
- ドーベルマンなど一部の犬種は飼い始めてからトレーニングコース8回を受ける義務がある。
- 飼い犬は家の中での飼育が義務付けられており、屋外にリードなどでつないでおくことは虐待にあたる。
- フンを片付ける義務を違反すると約9,000円程度の罰金を科される。
2017年くらいまでは、飼い始めてからのベーシックトレーニング8回を(3回は飼い主だけ、5回は飼い犬と)全ての犬が受講する義務があったそうです。
なぜなくなったのかというと、しつけを重視する国民性で、みんな自主的にドッグスクールに通うから、あえて義務化する必要がないんだとか。
そうやってきちんとしつけをされている犬は吠えたり、噛んだり、人のものを食べたりしないので
公共交通機関では、犬用の乗車賃を払えば(人の半額)ケージなしで乗ることができ、レストランやカフェでも犬を連れてお食事ができます。
犬に関しては、社会の一員として認められている感がありますね。
街中に散歩でのフンを捨てるためのグリーンやシルバーのポスト/ごみ箱が沢山設置されていて、親切なことにポリ袋もセットになっていて置いてありますので、そこに捨てていい事になっています。
定期的に回収されているので、不衛生になることはないんだとか。
犬税がこういう目に見える部分で使用されているというのはいいですよね。
犬用のフン用のゴミ箱。ちゃんとゴミ袋まであるのがいいですね。
その他、スイスの動物に対する決まり事の一例
ロブスターは生のままゆでるのは禁止、意外にもこんな決まりごとがあります。
・殺処分ゼロ(完治不能な病、人に危害を加える凶暴な犬は除く)
・1980年から鶏のケージ飼育の禁止政策(動物保護法)がとられている。
・犬猫以外のウサギやモルモット、インコ、金魚などの動物は「社会的動物」と定義されていて、単独で暮らすと苦痛なので、2匹以上で飼わなければいけない。飼育かごの最低限の大きさも定められている。
小動物に関する決まりが2008年に施行されているんですね。
2匹飼っていて、1匹が死んでしまった場合、残された子が孤独にならないように相手を貸してくれるレンタル会社が普及しているのだとか。
お国によって色んなビジネスやニーズがあるんですね?
現在、フォアグラ、カエルの脚、毛皮、ウズラの卵、サメのひれ、アシカの子供、爬虫類の皮、バタリー式農法(狭い檻で飼われる)で生産された卵なども、輸入や生産を禁止する可能性があると言われています。
スイスで動物を飼う方法
スイスでは、ペットショップで犬や猫は売買が禁止されています。
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ではどういった方法でペットを飼うことができるんでしょうか?
スイスのブリーダーは国家資格!ブリーダーから譲り受ける
スイスで動物を飼いたい時は、ブリーダーから譲り受けるのが通常の方法です。
まず予約をして、それをもとにブリーダーが生まれてくる頭数をある程度調整して、だいたい生後12週以降に譲渡するブリーダーさんが多いそうです。
日本のように出会ったその日に連れて帰るなんてことはできないんですね。
驚いたのはなんとスイスのブリーダーは国家資格ということ!
国が認めたたブリーダーのみがブリーダーを仕事にすることができます。
スイスでブリーダーになるには犬に対する細かな知識はもちろん、広い飼育スペース、時間もお金もかかる為、覚悟必要な職種。
ブリーダーは最低10週は育て、母親には4回以上出産させない。という決まりがある。
お値段は高くても30万円(チャンピョン犬の子供)ほどだそうです。
スイスにもあるティアハイム
ブリーダーから譲り受ける以外の方法は、アニマルシェルターから引き取るという方法があります。
ドイツで有名なティアハイム(動物用シェルター)は、お隣のスイスにも110か所以上あり、
譲り受けるには、職員が環境を確認したり、
犬を家に1日中留守にさせると虐待にあたり、1人っきりにしていいのは3時間なんだそう。
お世話をする飼い主が仕事をしている場合は犬を会社に連れてきてもいいという許可書の提出義務があったりと
(会社に連れて行けない場合は、休み時間に一度帰るなどの対策をするそう)。
飼う為の条件やハードルが高いため、猫を飼う人が多いのかもしれませんね。
ティアハイムで犬を譲り受けるには45,000円程度、猫は27,000円程度の支払いが必要です。
参考 動物福祉スイス連邦食品安全獣医局ドイツがペット先進国と言われる理由
ドイツも動物保護の意識が高い国で有名ですよね!
約半分の世帯がペットと一緒に暮らしているそうです。
人気1位はやはり猫。2位が犬。スイスと日本と同じですね。
犬だけで4時間以上留守番させてはいけない。と言われているのはスイスと同じ!
大学の講義を犬と一緒に受けたり、カフェや電車に一緒に行くことも。
それだけ1匹にしておけないとなると、犬と一緒に行ける場所がある程度ないと飼い主も困ってしまうので、犬を連れて行ける環境が整っているのだろうと思います。
1871年に200ほどの動物保護団体がすでに存在していたことから、動物保護の歴史が長いことがわかります。
ドイツには、数多くの動物保護団体が存在する。その中でもヨーロッパ最大規模の団体として「ドイツ動物保護連盟」が挙げられる。
この連盟は、動物虐待に対する機関として1881年に創設された。
傘下には16州の団体と700以上の動物保護協会が加盟している。
これらの動物保護協会には500以上の動物保護施設(ティアハイム)及び、80万人以上の会員が含まれる。
運営は、州からの助成金ではなく、個人の会費や寄付、相続金による。
ドイツで犬を飼う場合の決まり事
スイスと同じく、猫には決まりごとはないのですが、犬に対しては様々な規定があります。
- 犬税が(大型犬1匹年間14,000円程度/中型犬11,000円程度/小型犬8,500円程度)があります。(猫やうさぎなどにはスイス同様、税金がないそうですやうさぎなどにはスイス同様、税金がないそうです。)
- 外の気温が21度以上の時に車の中に犬を置いて行ってはいけない。
- 基本的に4時間以上犬だけで留守番させてはいけない。やむおえない場合でも6時間以上散歩をさせないで部屋に閉じ込められているのはNG、10時間以上になると虐待とみなされ近隣住人から通報される。改善がない場合は犬は没収される。(仕事をしている人が飼う場合は昼休みに一度家に帰って世話をして仕事に戻る等の方法をとる。)
- 散歩や遊びの為の運動時間、リードの長さなども決められています。
- 犬のフンを放置すると罰金がかかります。
- 生後8週以前の子犬の引き離しは禁止。
- トイレは家の外でさせること。
- 1部の州では、中型犬以上の犬を飼う為にはライセンスが必要。
- 迷惑な犬の飼い主には令状が届き、別に税金を支払う義務がある。
- 殺処分ゼロ(完治不能な病、人に危害を加える凶暴な犬は除く)
等の決まりがあるそうです。
州によってはスイスにあるような犬のフン専用袋とボックスがあり、毎日ちゃんとゴミ回収されているんだそうです。
家の外でトイレをさせるようにと決まりがあるので、この専用ボックスがあるのは便利ですよね。
家でのトイレ習慣がないので、トイレシートはほとんど販売されていなんだとか。
よく、「ドイツではお行儀のいい犬しか見かけない。」という話があります。
迷惑行為をすると、別に税金を支払わないといけないという事もあり、
飼い主も飼い始めのトレーニングが重要だと考えて、しっかりトレーニングをするんだそうです。
その他、ドイツの動物に対する決まり事の一例
ドイツの動物保護法第1条では
「この法律の目的は、共生物としての動物に対する人間の責任に基づいて、動物の生命および健在を保護する事である。何人も理性的な理由なくして、動物に痛み、苦しみ、または障害を与えてはいけない。」
と定められています。
・魚の「キャッチ&リリース」は禁止されている。食用以外の魚は採ってはいけない。
・1990年には民法に「動物は物ではない」と規定が追加されたそうです。
日本では法律上、「動物は物(愛護動物以外)」とされているので、雲泥の差ですね。
ドイツの動物保護の歴史
ドイツでは、1933年に「ライヒ動物保護法」が立法されました。
ヒトラーが政権を握っていた頃ですね。
「動物は、人間の為ではなく、それ自体のために保護すべきという立ち位置をとる。」
「木や動物に権利を与え、原則として人間と同等に扱う。」
などが、ナチス動物保護の考え方で、
ヒトラーは動物保護活動をしていたの?とびっくりしました。
「鶏への強制給餌や、カエルの脚を切ることを禁止」といった内容もあり、
これは、ユダヤ人の科学者が起訴される理由になったんだとか。
つまり、この動物保護法は実はユダヤ人を非難して、逮捕するための大義名分として作られた法律だったと言われています。
はじまりはなんだか残念な話ですが、この法律が、現在のペット先進国といわれるドイツの動物保護法のはじまりなんですね。
ドイツのティアハイムとは
「ティアハイム(Tier 動物 Heim家)」という全国に700前後の施設ある民間のシェルターが動物を保護しています。
中でもベルリンにはヨーロッパ最大のティアハイムがあり、広さは18.5万㎡(東京ドーム4コくらい)にも及び
犬や猫だけでなく、畜産動物、爬虫類、鳥類など様々な動物が保護されています。
出典:care Coexistence of Animal Rights on Earth
年間予算の収入は、会員や企業の寄付金、高齢で亡くなられた時の寄付、などでまかなわれていて、寄付金を募る広告を出したりもしているそうです。
行政からの補助金は一切受けていないのだそう。
国が運営していると思っていましたが、そうじゃないんですね、
行政からの補助がない分、むしろ政府に対して公平な立場で動物福祉策について提言ができるから、その方がいいんだとか。
スタッフも、従業員よりボランティア(犬の散歩や動物の世話をしてくれる)の数が4倍近くいます。
ボランティアというか、現地では「会員登録をすると犬と散歩が出来る!寄付?もちろんしますよ。」といったノリ。
ドイツでは、ボランティアや寄付は日常の一部で、当たり前のこと!!という認識なんですね。
小学校で、犬のシグナルを勉強するから、犬を飼っていない人もリードなしで散歩されている犬に対してどう接すればいいのかわかるんだそうです。
ティアハイムに来た動物の心身の治療やしつけが必要な場合は、リハビリセンターで専門の獣医による訓練や治療が行われています。
出典:care Coexistence of Animal Rights on Earth
参考 BERLINTIERHEIMドイツで動物を飼う方法
新しいペットを迎えたい時は、まずティアハイムに行くのが当たり前。という文化が根付いています。
譲渡されるのは必ず生後8週齢以降
1日に8時間以上、家を留守にする人には基本的には譲渡してもらえないそうです。
長時間の留守を虐待と同じだととらえているからです。
その他、住居環境、家族構成などの細かいポイントをクリアしないと譲渡されない為
日本のようにかわいくて衝動買いしたものの、、という悲劇が起こりにくいんですね。
めろん
ティアハイム以外では、直接ブリーダーから譲り受ける方法があります。
イギリスがペット先進国と言われる理由
めろん
イギリスもほとんどの場合、ケージなしで公共機関に一緒に無料で乗れます。
ホテルやレストランは、どこでもOKというわけではなく、ペットフレンドリーホテル、ペットフレンドリーレストランと検索すると
ペットと一緒に行ける場所が見つけられます。
出典:The Telegraph :28pet-friendly hotels inBriten your dog will love as much as you
イギリスの文化の象徴といわれるパブでは、犬OKのところがほとんどなんだそうです。
公園はノーリードで遊ばせられる場所が多く存在します。
イギリスで(2018年)飼われている犬の頭数は900万頭、猫は800万頭という統計が出ています。
ペットのいる世帯数は犬が26%、猫が18%。犬の方が多い国なんですね!
スイスやドイツより細かい規則や犬税がないことと、犬は仲間という意識が強く、犬の育休がある会社もあり、犬のフン用ポストは国営。虐待に対する保護環境が整っていて
犬を安心して飼える環境なので犬が多く飼われているのではないかと思います。
イギリスで犬を飼う場合の決まり事
2018年に生後6か月以上の販売が禁止、ペットショップでの販売が禁止されています。
(ハムスター、ウサギ、モルモットはペットショップで販売していいそうです。)
留守で家を空ける時は、個人のお宅で犬を預かってくれるドッグ・ボーディングや、家に泊まり込んで普段通り犬の面倒を見てくれるドッグ・シッターが一般的です。
- 生後8週以下の販売禁止。
- 健全な犬や猫は処分しない
- 引き渡しは対面、ブリーダー宅で行う事。
- マイクロチップの義務化。
- 年間3回以上犬の出産を行う場合はブリーダーライセンスを取得しなければならない。
イギリスにも街に設置されている犬のフンを捨てるPoo postやDOG WASTE ONLYのゴミ箱があります。
イギリスは1987年に犬税が廃止されているので、管理は国民の税金でまかなわれているんだそうです。
犬税は、動物保護BランクのデンマークやCランクのフランスでも廃止されてます。
動物保護が進んでいるからといって、犬税があるというわけではないようです。
参考 Animal welfare legistration:protecting petsGOV.UKその他、イギリスの動物に対する決まり事の一例
・DEFRA(環境・食糧・農村地域省)内で、動物福祉の監督を担当するAnimal Welfare&Exiotic Disease Control Teamは、9つのチーム(屠殺、農業動物、動物輸送、伴侶動物、サーカス動物、危険犬と危険な野生動物、国際関係、リスク管理、動物園動物と外来生物)に分かれて活動し、管理されています。
・1979年に、イギリス政府は農用動物(家畜)福祉会議FAWCに設置し、1993年にこの農用動物福祉審議会によって「5つの自由Five Freedom」原則が確立しました。
1.飢えと乾きからの自由 2.不快からの自由 3.痛み、傷、病気からの自由 4.通常行動への自由 5.恐怖や悲しみからの自由
この原則は、現在の動物愛護福祉政策の基準となっていて、EUの令法にも反映しています。
・動物の虐待・もしくは虐待の疑いがある場合(証拠がなくも)にRSCPAのインスペクター(調査員)が現場に介入できることが許されています。
・競馬で1競争に鞭を当てていいのは10回まで。
ペットだけでなく、あらゆる動物に対する法があるんですね。
イギリスの動物保護の歴史
イギリスでは、16世紀~19世紀ごろまでもともとは今とは真逆ともいえる
「世界で最も残酷で野蛮な国」と言われてきた過去があります。
具体的には、犬同士を闘わせるドッグファイティングをはじめ、牛や熊を数匹の猛犬にかみつかせる牛や熊いじめが
一級の娯楽やギャンブルとして広く普及していたり、
馬車を引く馬が過酷な労働を強いられていた時代がありました。
その頃犬をペットとしてかわいがれるのは富裕層のみ。
「このままでは、英国民が野蛮人になってしまう!」と
ベンサムなどの哲学者などの知識人が「動物も痛みを感じる。苦痛を受けない権利がある。」と声を上げはじめたのです。
マーティン法/マーチン法とは
リチャード・マーティンは、アイルランドの政治家、動物愛護運動の先導者で動物虐待防止協会(SPCA)を創立しました。
1822年に畜産動物保護『マーティン法』という法律ができました。
もとは英国人が野蛮な国民になってしまうことを懸念して、文明国にふさわしい国にするために作られた法律ですが、
当時は多くの国民が賛同していなかったそうです。
「奴隷制度廃止法」が1833年に制定されたので、人間の権利もまだ守られていないのに、動物保護が先とは、どうゆうことか?
と思う市民の気持ちもわからなくもないですね。
民間にあまり広まらなかったので、この協会は、1824年には王室の許可を得て
世界最古の動物愛護団体『王立動物虐待防止協会(RSPCA/The Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals)』となり、今なお続いています。
これがきっかけで、北アイルランドのアルスター動物虐待防止協会、スコットランド動物虐待防止王立協会(SPCA/SSPCA)などがのちに設立されています。
バタシードッグズ&キャッツ・ホームとは
1860年からある動物愛護の施設『バタシードッグズ&キャッツ・ホームBATTERSEA DOGS&CATS HOME』は
イギリスを代表する犬と猫の保護施設です。
もともとは、ロンドン、イズリントンで暮らす女性メアリー・ティールビーがキッチン横の食器部屋で傷ついた犬たちを元気になるまで世話をし続け、彼女の周りにいる人々も不遇の犬たちを連れてくるようになった。
はじめは「ばかげた感傷趣味、犬を救う意味はない」という辛辣な意見が多く、風当たりが強い時期もあったが、
有名人の英国作家で愛犬家のディケンズが記事を出したとたん、多額の寄付金が集まるようになり
一時は立ち退きを迫られていた保護施設の買取に成功した。
現在では最長で3年、というくらいほとんどの犬や猫は1ヶ月以内に譲渡されているんだそうです。
正社員300人、ボランティア400人。
運営費用は国からの補助金や宝くじの資金などは受け取っておらず、全て寄付金でまかなわれています。
高齢のペットは、高齢者に積極的に譲渡し、飼い主がもしもの時にペットのその後のケアを保証する代わりに、遺贈を約束してもらう制度があるそうです。
ロンドン以外に、ケント州のブランズ・ハッチや、オールド・ウィンザーにも同施設があります。
他にも、『ドッグズ・トラストDogs Trust(21か所)』やイギリスには1,000以上の団体があります。
イギリスで動物を飼う方法
イギリスもスイスやドイツと同じで、ペットショップで犬や猫を売買されていないので
ケンネルクラブなどを通してブリーダーを探して、子犬と対面できるまでじっと待つ。もしくはドッグ・トラストなどのシェルターから譲り受ける、そのほかRSPCAなどの様々な組織から入手できます。
イギリスの犬のしつけ
イギリスの犬も、スイスやドイツに負けず劣らず、きちんとしつけがされた犬ばかりで
家や街中で吠えて困るといったお家はほぼないのだそう。
犬は仲間(コンパニオン)として家族、社会の一員と認められています。
飼い犬をトレーニングスクールに行かせるのが当然のことで、スクールでは補習のエキストラレッスンまで受けられます。
飼い主さんと犬が一緒にしつけ講習を受けられる寄宿学校なんかもあるそうです。
しつけが十分であれば、ほとんどの公園で犬がノーリードで自由に遊べ、高級ホテルにも宿泊できるんです。
イギリスの保険会社Petplanの調査では、新たにペットが家族に加わった労働者の20人に1人が
ペットのための育休「Paw-ternity leaves」を10時間~最大3週間(企業による)とれるんだとか。
その間にしっかり環境に慣れてもらったり、ペットとしつけ教室に通ったり、病院へ行ったりする時間がとれるそうです。
ペット休暇が終わっても、会社にペットを同伴できるなどフレキシブルな会社もあるそうです。
日本ではまだ女性の育休でも難しいと言われているのに、、パパの育休の先を行く?ペットの育休、、すごいですね!!
EUにおける動物福祉とは
動物福祉は、Animal Welfare(アニマルウェルフェア)とも呼ばれています。
日本に足りていないと言われる愛玩動物以外の決まりが具体的にありますね。
EU農用動物の福祉に関する法令
農用動物に関する決まり事もどんどんできているようです。
1974年 屠畜前の動物の気絶処置に関する指令
1977年 国際輸送中における動物の保護に関する指令
1978年 農用目的で飼育される動物の保護のための欧州協定の締結に関する決定
1986年 バタリーケージで飼養される採卵鶏を保護するための最低基準を定める指令
1991年 豚の保護のための最低基準を定める指令
1991年 子牛の保護のための最低限基準を定める指令
1998年 農用目的で飼養される動物の保護に関する指令
1999年 有機生産規則(EEC)No2092/91を補完して家畜生産を含める規則
2007年 食肉生産のために飼養される鶏の保護のための最低限のルールを定める指令
日本の指針は農林水産省のホームページ「アニマルウェルフェアについて」で見る事ができます。
EU実験動物保護法とは
ヨーロッパはEU加盟国が共有する「実験動物の保護に関する指令」という実験動物に対する決まりがあります。
CIOMS(Council for International Organization of Medical Sciences)国際医学団体協議会
CIOMSの動物実験に関しての規制から抜粋
第2条「数学的なモデル、コンピューター趣味レーションおよびin vitroの生物系システムといった方法が使えるならば、そちらを使うべきである。(なるべく代替すること)」
第4条「実験のために選ばれる動物は、適切な種および質であり、科学的に信頼のおける結果を得るために必要最少の数とすべきである(実験動物を極力減らす)」
第5条「実験者および他の職員は感覚のある動物を決しておろそかに扱ってはならない。適切な管理と使用を心がけ、不快、苦痛を与えてはいけない。与えても最小限にとすることが倫理的に求められている。」
第7条「瞬間的痛み、最少の苦痛以上の苦痛が生じると思われる処置を動物に行う場合には、獣医が気的に容認されている適切な鎮静、鎮痛、あるいは麻酔処置を行うべきである。外科手術などの傷みをともなうちょちは化学物質によって麻酔させた動物に無麻酔で行ってはならない。」
コンピューターで代替できる内容ならまず代替し、やむ得ない場合は最少の数で、苦痛軽減の過程をかならずふむこと。
というような内容ですね。動物保護、動物福祉のために規制をしています。
ペット先進国では、動物を苦痛のうえ殺すというという行為は、人として(倫理的に)してはいけないこと。
という考えがあることがよくわかりますよね。
人間同士の殺傷だったら当たり前のことだけど、「人間以外の動物だったら何をしてもかまわない」っていうのはどうなんだ?っていう
あのデカルトやカント的な部分が日本にはまだあるっていう事ですね。
日本にも日本実験動物協会という所があって、いくつかの規定はあるようです。
日本とペット先進国の考え方の違い・まとめ
今回は日本のペットに関する環境やペット先進国のペットに関する法律についてをお伝えしました。
ペット先進国の動物保護施設の譲渡率はティアハイムが9割、バタリードッグス&キャッツホームは3か月で全ての犬や猫が譲渡されている。
という譲渡率が高いことに驚きました。
それは、ペット先進国ではブリーダーから直接買う意外だと、シェルターから譲り受ける以外の方法が基本的にはないので
譲渡率が高いという結果が出やすいのだと思います。
ちなみに日本の保健所では
譲渡率は2017年犬と猫合わせて56.5%です。
譲渡といっても、民間の保護団体が複十数匹まとめて預かるケースも含めてこの数です。
つまり、残りの犬や猫の処分率は43.5%ということになります。
日本とペット先進国の違い
今はペット先進国と呼ばれるどの国々も、もとは「動物は物・道具」という考え方が主流で
動物に対してひどい仕打ちをしてきたという過去があるということがわかりました。
もともと肉食メインの欧米では、動物に対してそういった気持ちでないと、食べられないという事もあったのかもしれません。
なので、実は食文化も大きく関わっているんじゃないか?と思います。
ペット先進国と言われる国では、肉食だからこそ、いわゆるベジタリアンと呼ばれる人々も多いですよね。
ベジタリアンになった人々は、たいてい「動物が食肉になる過程を見たら食べれなくなった。」と言います。
日本では、天武天皇の頃から1200年もの間たびたび肉食が禁止されていて、もともと穀物を主に食べていたことから、
肉食になってからの歴史が欧州より浅いので、動物保護の観念が欧米と比べて遅れている(特に愛玩動物以外の福祉)、とも言えそうです。
もともとは日本の方が早く動物愛護に近い活動をしていたはずなのですが、、、早すぎたのかもしれません!?
めろん
ペット先進国では、動物保護の考えが決して人中心ではなく、動物にとってどうか?
少なくとも日本よりは動物目線で作られているのことが、日本との違いではないでしょうか?
スイスの連邦食品安全獣医局のページに「動物の福祉と尊厳を保護しています」と書いてありました。
動物の尊厳という部分、今の日本に足りていない気がしました。
国民一人一人に、道徳としてそういった倫理が根付いていないのが一番の課題だと思うのですが、
その原因として考えられるのは愛玩動物に対しての「動物愛護法」ができても、「動物は物」という法律がまだあるからなのかもしれません。
逆にいうとペット先進国では、「動物は物ではない」と法にあるのが大きい気がします。
それを変えられないのは、たぶん特に愛玩動物以外の動物福祉が、日本ではまだ整えられないからだと思うのですが
まずは法律を「動物は物ではない」に、フライングでもいいから変えてほしいですね!
そうしないと、これ以上変わらない気がしてしまいます。
飼い主側からは、犬の通常の散歩や公園の散歩、ホームセンターへは一緒に行けますし、ペットフードの種類も多い。
トリミングサロンもペットグッズも沢山ありますし、ペットを飼うのに困らないと言っていい環境だと思います。
でも飼われているペット側からすると、留守番が多すぎたり、狭い所に長時間いないといけなかったり、散歩をしてもらえなかったり、
ごはんをもらえなかったり、虐待があったりしても誰も助けてくれない。日本はそんな環境なのかもしれません。
まとめ
ペット先進国には厳しい規制がありますが、それでもなおライセンスのない悪質なブリーダーがいたり
殺処分ゼロという話だけど、狩猟に免許のいらないイギリスや狩猟免許を持っている人が多いドイツ(山を持っている人はみんな持っているという話)では野山に生息する犬や猫は、狩猟によって駆除していいとされていたり、
EUになってシェンゲン協定により、国境検査を受けることなく輸出入が可能になったため、露店で犬や猫を売る商売があったり
(スイスはEUに加盟していませんが、シェンゲン協定に2004年に加入している)
街の犬のフン用のゴミ箱がきちんと管理されていない箇所があったりするんだとか。
スイスのティアハイムには批判的な意見の国民も少なからず存在していて
決して全ての人々が動物愛護や動物福祉の精神を持っているわけではないという事実もあります。
いい話だけがメディアに取り上げられてひとり歩きをしているだけで、ペット先進国での動物福祉の問題は実際は全くないわけではないようです。
日本では、まず法を「動物は物ではない」に変えたうえで、ペット先進国のいい部分だけを取り入れていけば
ペット先進国よりもさらに素晴らしい動物福祉の国になれるのではないでしょうか?
そんなことする必要あるのか?と思う方もいると思います。
ただ、今の状態は、昔よりはずいぶん前進してきたとはいえ、まだ表面的な決まり事だけで、動物福祉の心がないというか、なんだか残念な気がするのです。
動物たちの命の重さは人間と同じ。命を扱うならそれなりの方法をとるべき。と皆が思える日本になったらいいな、と願いを込めて。